映画『ファインディング・ニモ』のドリー役で有名になったナンヨウハギ。
綺麗な青色の身体をして、まさに南国の魚!という感じがしますね!
これから春から夏にかけてダイビングする際にも幼魚を見かけることが増えて言います。
その幼魚の中でも人気が高いのがナンヨウハギ。
姿かたちは大人の姿のスモール版。
色合いは淡いブルーでとっても綺麗なのです。
幼魚のころはサンゴへの依存性が高く、ダイバーが少し近づくと隠れてしまうため、
写真撮影を簡単にはさせてくれません。
1mくらい近づいて出てくるのを待っていても、ダイバーが吐いた泡に警戒して出てきてくれませんからね!
でも、たくさんの数が一斉に隠れている姿が、また愛くるしくもあります。
ナンヨウハギの住処はサンゴ礁。
成長するにつれて潮流れの弱いところから強いところへ生活環境を変えます。
大人になると泳ぐスピードも速く、私たちダイバーも追いつけないほどです。
幼魚も成魚も中々近づくことは難しい魚です。
ナンヨウハギはサンゴを救う
ダイビングしていると、お魚の食事風景をたくさん見ることができます。
サンゴ礁を住処にしている多くの魚は藻を食べるのですが、
この藻はサンゴにも生えます。
藻が生えすぎてしまうと、サンゴは呼吸ができなくなってしまって
命の危険が及びます。
そこで、その藻をナンヨウハギが食べてサンゴの身体をクリーニングしているんですね!
ちなみにプランクトンも食べる雑食性です。
ナンヨウハギは外敵から身を守るためにサンゴをお家とし使わせてもらっている代わりに
サンゴの命も助けている。
サンゴ礁からしたら無くてはならない存在だということは間違いないでしょう。
ナンヨウハギは英語で「surgeonfish」と言います。
「surgeon」は「外科医」という意味があります。
まさにお医者さんですね!
ナンヨウハギの観察方法
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幼魚編
近づくとサンゴに隠れてしまい、身体全体を見ることは難しいため、3mくらい手前でフィンキックも止めて静止します。
ゆっくり穏やかな呼吸をしながら少しずつ近づくと、1mくらいまでは寄ることができるので
そのタイミングが写真撮影のチャンスです!
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成魚編
大人になったナンヨウハギは潮の流れが強い場所を泳ぎまくっています!
ダイビング中に、あっ!ナンヨウハギだ!と思っても遠目から見ることもしばしば。
逆に動きを止めます。彼らが自分のほうに泳いでくることを待った方が賢明です。
ペアか数匹の群れをつくって遊泳していることが多いので、その姿を楽しみます。
どうしても近くで見たい!というときは日中を避けます。
日中は元気よく活動しているのに対し、早朝、夕方、は動きが遅く、夜は眠っています。
ナンヨウハギは食用には向いていない
この鮮やかな青色の体色から食欲はそそりませんが、
沖釣りをしているとたまに上がってしまうことも。
実はナンヨウハギの尾ビレには毒が存在します。
食べてしまうとシガテラ中毒や食中毒になってしまう恐れがあり危険です。
また、スタッフ内川の知り合いが追い込み漁の網にかかったナンヨウハギを逃がそうとしたら
ダイビング用のウェットスーツを切り裂かれて腕を怪我しました。
実は、尾ビレにナイフのような鋭いトゲがあるのです。
釣り上げたときも十分注意が必要です。
でも、彼等からしたら自分の身を守るために備えているので仕方がありません。
捕まえても気を付けながら海に帰してあげましょう。
ナンヨウハギは死んだふりをする!?
鑑賞用として飼っている方の間では有名な話ですが、
自分の身に危険を感じると、その場で横たわって死んだふりをします。
海ではサンゴ礁や岩場の穴に逃げ込むことが大半でしょうが、
逃げ場がない!というとき、
大型の捕食者が通り過ぎるのを死んだフリをしてその場を凌ぐそうです。
実際、その光景を目にしたことはありませんが、
広い海で生きていくためには、色々な知恵が必要そうですね!